鏡の向こうの自分。



鏡に映し出される自分。
正反対の自分。
其れは、きっと。
…愛しい誰か。




――冷めた人間だと、自分自身、解っていた。

だから、あの言葉を聴いた時も、何とも思いはし無かった。
「最低…」
むしろ、微笑みが零れてきた。
そんな友雅の様子を見て、其の者は更に眉間に皴を寄せた。


――情熱なんか、当の昔に忘れてきた。

だから、其の者に触れる度。
其の熱さに何時も何時も火傷をしそうだった。
だけど、火傷は。
唯只、痛みだけを齎す。


――だから、惹かれた。

友雅には珍しく。
とても強い興味を持った。
“愛”とは決して違う。
強い、何かで。


――全てが欲しい。

鏡の向こうで蝶が舞っていた。
美しい、美しい蝶。
だけど。
鏡の向こうだから。
手が届く筈なんて無く。
何時でも火傷に気を、捕られてた。



…瞳を開けると、其の者が居た。
友雅はにっこりと微笑んだ。
夢を見ていたらしい。
目の前の其の者を傷つけた時の夢。

傷つけたのに。
其の者はあれからも友雅の傍に居た。
何故かは解らない。
少なくとも、友雅には解らない。
――その想いは若い其れなのだから。

「ごめん。
 …居眠りをしてしまった様だね」
優しく友雅はそう言った。
上面だけの言葉。
自分には簡単に吐けるモノ。
そんな言葉にも無邪気に笑って答える人。
友雅は其れが何故か熱くて痛くて、眩しくて…。
思わず目を細めた。


――鏡の向こうの自分と蝶。
其れは何時でも其の者で。
友雅には手を伸ばす事も、瞳を背ける事も出来なかった。
痛みを感じるのも、捨ててしまう事も出来なかった。
何時だって、自分は優柔不断。
微笑んではぐらかす。
だから、真っ直ぐな其の者に…。

――強く、強く惹かれた。




鏡に映し出される自分。
正反対の自分。
其れは、きっと。
…触れると消えてしまうモノ。




――後書き。

風姫です。
空見さんからのキリリクです。
ご…御免なさい!!
遅い&こんな代物で!!!
もぅ、意味分からんわっ!てな感じです。
何を書きたかったんだ!友雅さんぽいのを書きたかったんだ!
…撃沈。
リクは、『憂いを帯びた友雅さん』だったかな?(おい!/失礼。
…何はともかく。
空見さん、リク有難うございましたっ。

はわわわっ、キリリクって素晴らしいですね、皆さん!!(感涙
こんなに素敵&美麗&儚げな友雅サマを頂けるなんて……v(至福v
本当に、本っ当に、ありがとうございました、風姫様!

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